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[コメント] 男か女か(1914/米)

キーストン・スタジオを舞台にして映画撮影の裏側を見せる作品。俳優としてのチャップリンの疑似的な3役を見ることのできる作品でもある。
ゑぎ

 すなわち、素(演じる前)の体(てい)のチャップリン、いつものリトル・トランプ(浮浪者)−劇中の撮影現場での役柄、そして、女装姿だ。ちなみに本作の女装したチャップリンは、同年製作の『多忙な一日』のそれよりもずっと綺麗なルックスである(『多忙な一日』は、かなりの悪妻役だった)。チャップリンの女装自体が希少なので(他には翌年の『チャップリンの女装』しかないらしい)、チャップリンのファンには、これが一番の見どころかも知れない。

 例によってカッティングについて触れておくと、本作でも同一空間かつ同一時間軸で、カットを割ることは一切行われない。もう少し具体的に書くと、『多忙な一日』で見せた、チャップリン(妻)とマック・スウェイン(夫)の寄ったツーショットから、かなり引いたロングショットに繋ぐ、ポン引きのような演出は本作には無いということだ(ポン引きだけでなく、ポン寄りも切り返しもない)。そういう観点で云うと、本作も私には、いまいち面白みの薄い作品という感想になる。

 ただし、空間移動に伴うカッティング(人物が別の部屋に移動した際や、投擲された物の動きに合わせてカットを換える繋ぎ)によって、どんどん加速度をつけてカオスを現出させる演出には、十分面白さを見出すことができるだろう。それと、序盤にしか登場しないが、ロスコー・アーバックルとチャップリンとの絡みの部分は、2人の阿吽の呼吸の面白さが格別の感があり(その所作と表情!)、こゝが私にとっての一番の見どころだったと思う。

(評価:★2)

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