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[コメント] 新米雑役夫(1914/米)

チャップリンの初期短篇。1914年は出演も含めた映画キャリアスタートの年だが、監督13作目。ファーストカットは、ビルの1階エレベーター前。モップを持ったチャップリンがエレベーターに乗れず、階段をトボトボ上っていく場面。
ゑぎ

 次に最上階のエレベーター前が繋がれる。全体に、場面はこの2つのエレベーター前と、最上階の廊下、支配人室、社長室及び、ビルの前の路上だけで構成される。路上のショットはほんの僅かなので、ほゞ、社屋内だけを舞台とする。

 本作も、全編、人物の空間移動に合わせてカットを切り替えるカッティングしか出て来ないし、基本、フルショットに近い離れたショットばかりで構成されている。ただし、このルールの中で、社長室の掃除に入ったチャップリンが、誰もいないので休憩しようとしたのか、窓枠に腰掛けた瞬間、窓外に落ちかける、というアクションがあり、こゝで屋内ショットから、窓外の視点に繋がれる演出は特筆すべきだろう。この視点転換で、最上階がかなり高いフロアであったことにも驚かされる。さらに、窓枠に座って、水の入ったバケツをビルの外に落とす場面などは、ウエストショットレベルのショットであり、こゝが一番、人物に寄ったショットかも知れない。バケツの水をかぶった路上の紳士が誰だったか、というのを後で分からせるのも上手い構成だ。

 また、社長室の金庫の金を盗む人物と遭遇したチャップリンが、何の躊躇もなく平然と対決し、意外や相手を叩きのめして拳銃を取り上げてしまうという場面の演出も面白い。チャップリンの無表情さは、キートンみたいと思った。この後、チャップリンが拳銃をぶっ放してしまい、その音を聞きつけてやって来た警官も思いっきり蹴ってしまうというギャグはチャップリンらしい。

#エレベーターボーイは、アル・セント・ジョンだ。

(評価:★3)

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