コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 輪舞(1964/仏=伊)

ヴァディムも勇気がある。オフュルスと比較され貶されることが自明の無謀な試み。オフュルス版との構成上の違いは狂言回し役を用いず、各エピソードを長めに(冗漫に)語っている点だ。またオフュルス版から14年後ということで性表現が多少なりとも直截的になされている。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 しかし性表現が直截的と云っても、現在と違って、肝心な場面は画面から回避する訳で、オフュルス版と同じく物陰に倒れ込んだり、パンニングして静物で固定したり、というような表現になる。このような見せない演出の部分で、オフュルス版とは隔たりが歴然となる。簡単に云えば、ヴァディムは品がない事この上ない。アンナ・カリーナが植え込みから足だけを出して嬌声を上げるシーンの下劣なこと!

 また、フラッシュバックが悉くコマ落としで撮られていて、サイレントっぽいコメディのムードを出そうとしたようだが、とても貧相に見えるし、60年代特有の無自覚なズーミング演出も鼻につく。

 ただし、この映画も女優陣は皆良い。ダンス場のシーンでは子供っぽい赤いドレス姿で全然魅力を感じないアンナ・カリーナも小間使い姿になると途端に艶っぽくなる。当然ながら(?)、ダニエル・ダリューのやった役を演じるジェーン・フォンダが一番美しく撮られているのだが、彼女の顔が二重のベールから現れるカットは溜息が出るくらい美しい。オフュルス版でオデット・ジョワイユがやった小娘役のカトリーヌ・スパークも、前作にないある種の聡明さが滲み出ていて鮮やかな印象を残す。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。