[コメント] おもひでぽろぽろ(1991/日)
一度こちらで評価を書いた後に原作を読み、「何だったの、あれは」とさすがに腹が立ちました。映像として美しくなったのはいいとして、原作の持つ妙味が全く死んでいて、しかも成長後のタエコ像がもうずたずた。タエコは単純に「夏休みに行くところがない自分がカワイソウ」と思うだけで、田舎そのものに憧れるような娘ではない。所詮プチブルっぽい環境で育ったお嬢ちゃんの自分探し物語だったとはいえ、何とも安易で、そんなに映画化が面倒くさかったんなら、やらなきゃよかったのにとさえ思いました。
で、こっちのレビューも書き直し、点数もつけ直し!と思ったのですが、タエコが憧れる「あったかい田舎」が隠し含む、何ともねっとりとした「嫌らしさ」は意外とよく出ていたなあとか、トシオのキャラクターは、それはそれで魅力的だったなあとか、自分がいいと思ったところばかりが思い返され、「点数はこのままでいいか」となりました。
「原作で描かれたタエコその後「おもひでぽろぽろ2002」」
某レディコミ誌で、「おもひでぽろぽろ」の原作者による「タエコのその後」が不定期連載されていたことがありました。タエコは婿をとって家を継ぎ、娘は映画の中の子供時代のタエコとほぼ同年齢(顔も性格もそっくり)ですが、ケータイを持っていて、おしゃれして友達とお台場に遊びにいったり、プチ整形に憧れたり、日韓共催サッカー・ワールドカップで安貞桓のファンになって、「フリマで稼いで韓国に行こうよ」と言うような、憎めない現代の子供です(ちなみにこのエピソードでは、あの名台詞?「ぶっとばされんなよ」が登場しました)。60年代に小学生だった人が、この21世紀に「30代主婦」で「子供まだ小学生」という設定は強引なのですが、原作者の映画への不満を、こういう形で表したなんではないかと思える内容でした。余談ですが。
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