[コメント] やくざの詩(1960/日)
照明とカメラが異様な迫力を生む(たとえば南田洋子と同衾する垂水悟郎をとらえる正面からの撮影)。そして障害者・垂水を嘲笑する婦人・子供たちの冷酷な視線が、のちに彼が殺した伝書鳩への視線へとかさなる、どうしようもない残虐な演出の冴え!だが、その酷薄な美しさは最後にきて演出自体に裏切られるのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「復讐は何も生まない」というセリフは三文アクションでよく聞かれるが、この映画ではその文句に小林旭が素直にうなずいてしまい、復讐を遂げたその手で彼はそのまま垂水を治療、女性医師とともに手術成功後の余韻のなか、朝日にむかって微笑んでしまうのだ。これは悪質なコントとしか見えない。せめて垂水を殺した旭が、血に染まったような赤い朝日にむけゆっくりと歩き出すくらいにして欲しかった。綺麗ごとの欺瞞はほんとうにいい加減にしてほしい。
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