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[コメント] ユンカース・カム・ヒア(1995/日)

原作の方も読んでみたのですが、あの原作をよくここまで上手く仕上げたものだと、変なところで感心しました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原作の相違点は、原作のひろみは16歳で、非日常的な冒険もしたりするのだが、ここでは極めて日常的な部分に終始している点。喋って奇跡まで起こせるユンカースという犬がいるにも関わらず、視点はあくまでひろみの方にあって、しかもその望みは大変身近なものばかりだった。その点に終始したのが、近親感を増させていた。なんか、日常的な部分にほんのちょっとだけ違ったものがある。というのは、観ていて心地良い。

 勿論日常的な悩みというのは、決して小さなものではない。両親の離婚という事実は、感受性の大きなこどもにとっては、自分の世界の崩壊を意味するため、それだけ苦しいのだ。更に子供の心情を丁寧に丁寧に描くことで、その苦しさが観ている側にも伝わってくるような演出がされている。この点は脚本のうまさだ。

 それと、他のアニメーションと較べると、本作の絵は色合いが良い。淡い色を多用しているが、それまでのアニメでは、これは大変難しかった。

 アニメーション的な技術の進歩と、丁寧な脚本が本作を形作っている。現実離れしたアニメーションを、逆に現実的に出来てしまうことは、十分可能なのだ。小粒ながら良作と言って良い作品だろう。私はツボにはまるところまでには行かなかったけど。

(評価:★3)

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