花嫁人形や昭和歌謡はこの世界を嘆いている（矢野顕子はこの真面目を茶化している）、という神代らしいニュアンスがあるのであり、一方的に裁断するものではないと思うが。

鶴岡修は熱演好ましく、犬に掘らせるエンドタイトルで頂点を迎える終盤の加速度はもの凄いが、今や笑えないものがある。中盤の美人局ネタで鶴岡が長い間いなくなるのは話の流れを切ってしまっている。女は殴ればついてくる、みたいな発想も、チンピラの造形というよりも神代の信念という印象があり、引いてしまう処。縛られた鶴岡に谷ナオミが「あたしも昔はよくされたのよ」と宥めるギャグなど愉しいが、彼女の乳首の蠅はさすがにやり過ぎ。撮影は長回しの長芝居連発で相当に乱暴、急いで撮ってるなあと思ってしまう。