[コメント] ホフマン物語(1951/英)
メインの挿話の前に、まず、プロローグのバレエ場面がある。タイトルは「魅せられたトンボ」という、モイラ・シアラーによる、蓮の上でのダンスだ。フルショットを繋いで、アクション繋ぎを意識させない。次に、ルターの酒場という宴会場の場面を挟んで、3つの挿話が描かれる。
1つ目はオランピアの話。舞台はパリ。オランピアもシアラーが演じる。揺りベッドで眠るシアラー。黄色の衣装。人形劇から生身の人間への転換や、機械人形としての造型、例えば、取れて転がった頭部の目がパチパチしているカットなど、映画的に上手く見せている。
2つ目はヴェネチアを舞台にした娼婦ジュリエッタの話。有名な「舟歌」の場面だ。ジュリエッタはリュドミラ・チェリナ。この人の強烈な個性、神秘的な美しさには圧倒される。娼館なのか、酒池肉林イメージの豪華さといい、蝋燭から宝石へ、あるいはその逆に変化させる見せ方といい、この挿話が一番面白いと思った。
そして3つ目は、ギリシャの島の瀕死の歌姫アントニアの話。アントニアはアン・エイアーズ。この挿話は、見事な歌唱の連続ではあるが、ほぼ一つの部屋で展開するということもあり、動きの少ない画が続き、少々退屈だった。
さて、3つの挿話に共通してホフマン役のランスヴィルが登場するわけだが、他にもロバート・ヘルプマンとレオニード・マシーンといったダンサーが、異なるキャラクター(役)で、出ずっぱりのように出演している。二人とも凝ったメイクで動き回り、画面をよく盛り上げるが、2話目(ジュリエッタの話)での、凄い化粧をしたヘルプマンのアップカットには驚かされた。あと、一人だけ、3つの挿話を通して全く同じ衣装−赤い上着、同じルックスで登場するのが、ニクラウスという名のホフマンの親友役なのだが、これをパメラ・ブラウンがやっているのだ(男装ということだろう)。パメラ・ブラウンが、ひょっこり出現すると、なんか愉快な気分になる。
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