[コメント] リロ&スティッチ(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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中身スカスカなせいで"分かり易いお話"に見せかけて実はとても"分かり難いお話"でした。リロが友達から嫌われている原因なんて、ちょっとした変わり者の描写を入れたところで全然伝わってこない。むしろリロみたいな女の子は沢山いると思うし、それを"変わった子"として描く事に嫌悪。エイリアンであるスティッチとの共通点として"孤独で風変わりな女の子"というキャラ設定がなされたのだろうけど、中途半端なキャラ設定の為、リロとスティッチが性格・置かれた状況など似ているという印象は全く受けません。
またスティッチの方も、破壊本能のみをプログラミングされた実験生物という設定がちょっと嫌。作られた生物というのではなく、突然変異か何かで元々破壊本能しか持たないエイリアンという事にしておけば、後の心の変化もすんなりと受け入れられたのに・・・という感じ。
リロとスティッチの心の繋がりも描写が弱く、スティッチが出て行ってもリロは探す訳でもないし、姉のナニにしても溺れたリロを助ける為とは言えスティッチを足で蹴って見殺しにしかけたり、さらわれたリロを思うがゆえの行動だったにしろスティッチを棒で叩いたり、"オハナ"の"オ"の字も感じられない行動ばかり。取って付けたように時折挿入する「オハナは家族・・・」という台詞も宙ぶらりん。
それからクライマックスのリロを助けようとするスティッチがジャンバに助けを求めた際のジャンバの行動も妙。あまりに急展開な仲間協定。「何故!?」と問うプリークリーに「説得力があったから」って・・・その台詞の説得力のなさに脱力。せめてスティッチを追う過程で徐々にスティッチを思いやる気持ちが表れてきたりしていればまだ分かるんだけど・・・。(ただ「カウアイ島には破壊物がないから、アイツは今どういう気持ちなんだろう?」というニュアンスの台詞はとても良かったので、そこをもっと掘り下げて描いて欲しかったです)
とまぁ色々文句ばかり書きましたが、ラストの「リロはオハナ。自分でみつけた」というスティッチの台詞にはウッときたし、(ただ何度も言いますが、もっとしっかりした描写やがあれば号泣台詞だったハズ)あの凶暴さと愛くるしさが絶妙な配分で融合しているスティッチというキャラクターは文句なしにカワイイ!!!(うちで飼っているロップイヤーというウサギにソックリ!)破壊物のないカウアイ島で、ストレスがたまりまくってるんだろうなーと言うのがとてもよく伝わってくるあのイライラとした動き!!とか、サンフランシスコの街並みをおもちゃで作り、破壊しまくって満足げなクセに、寝る時には「みにくいあひるの子」の絵本をちゃっかりベッドに持って入っていったりとか、もうもうもう!!!かーわーいーすーぎーるーー!!!アホか!というほどスティッチがつっくいている車やバッグなんかもよく見かけますが、そうしたいアンタたちの気持ちが今やっと解った!という爽快感はありますね。
製作側の意図するところではないかも知れませんが、あまり深く考えずに分別ある大人が頭空っぽにして凶暴で愛くるしいスティッチを愛でる映画だと割り切ってしまえば、とーっても楽しい映画だと思います。それだけに、クドイですがもったいない…。あと蛇足ですが、フラダンスを習っている私としては、あの芸術性の高いディズニーのアニメーションでもっとフラシーンを見たかったかな。
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07.05.16 記
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