[コメント] 西部の人(1958/米)
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特に、ラスト近くのゴーストタウンの描写なんか簡潔かつ明瞭で、もう非の打ちどころがない。ゲーリー・クーパーがやって来る際に水平に近い動きのクレーン移動が使われているなんてところが興奮する。こゝを舞台とするガンファイトも派手さはないが、傷を負った二人(クーパーとジョン・デナー)が倒れ横臥したまま、銀行のステップ(床板)の上下で撃ち合う演出が渋い!
助演の悪役たちもリー・J・コッブ、ロバート・ウィルク、ローヤル・ダーノそしてジョン・デナーとシブイところを揃えて1950年代後半の西部劇らしい陰惨な雰囲気を増幅させている。中でもコッブの狂気の演技は凄まじい。彼がクライマックスで岩山の上に登場する超ロングショットは恐るべき造型だ。しかし、それにも増して、ヒロインであるジュリー・ロンドンの描き方が突出しているのだ。やはり、本作の畸形的な魅力はロンドンの扱いに拠るところ大だ。前半のストリップ強制シーンは非常に有名だが、エンディングでも唖然とするような突き放しが待っている。それはコッブから凌辱される、という部分を指しているのではない。ラストカット直前の、馬車の上でのクーパーとのシーンを指している。ラストカットへの持って行きように私は打ちのめされるような感慨を覚えた。
#クーパーが妻子持ちであることは中盤の会話で示されるのだが、私はエンディングで「実は妻は亡くなっているんだ...」というような科白が待っているのだと予想していたのだ。なんという浅はかさ!
#幼少のみぎり、テレビ放映された際に見ていたのだが、ラストはクーパーとアーサー・オコンネルが線路を歩いて終わった、と思っていた。ただ、女優が服を脱がされるシーンがあったことは鮮明に記憶していました。
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