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[コメント] 家路(2001/仏=ポルトガル)

フランス版の小津映画(違うって)。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 淡々とした枯れた日常が描かれる話で、老境にある役者が、愛するものを失い、代わりに得たものとの新鮮な生活を続ける内、自らの過去や現在、未来に思いを馳せる。ピッコリが老いて尚ヴェテラン俳優としての矜持を持つ役者を見事に演じていた。

 この作品は結構構成が面白く、実生活の合間合間にはピッコリの演じる舞台劇が挟まるように挿入され、その中での人間模様も又、結構しみじみとさせてくれる。実生活においても何となく演技者っぽく振る舞ってしまう老人と、それを追うカメラの視点が面白いところ。最後に彼が頼まれる役はなんと「ユリシーズ」。これを演じさせるって、実は無茶苦茶実力がある証拠。しかし、そんな大役も又、やはり日常に埋もれていく…不思議な思いをさせるね。

 尤もまあ、ストーリーそのものは大変淡々と流れていくため、ついつい睡魔に襲われそうになるのが問題だが(笑)

 あと二十年後か三十年後にもう一度観たら考えも変わってるかも知れないな。

(評価:★3)

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