[コメント] 股旅三人やくざ(1965/日)
『人生劇場』シリーズよりも後、既にマキノ雅弘は『日本侠客伝』を製作し、東映任侠映画がスタートしている時期の沢島忠。いまだ美空ひばりを主演にして、悪く云えばマンネリを感じさせる、しかし円熟味を増した愉快な時代劇を撮っていた頃の作品だ。
本作は股旅モノのオムニバス3編。「秋の章」「冬の章」「春の章」という副題が付いている(夏は無し)。秋は仲代達矢と桜町弘子。顔も思い出せない男を待つ女郎の話。冬は志村喬、松方弘樹と藤純子。博打打ちの父とその娘の人情話。画面外から聞こえる雪崩の音の使い方がいい。
そして、春は中村錦之助と入江若葉の内田吐夢版『宮本武蔵』コンビ。これが傑作なのだ。錦之助の三枚目の造型は舌を巻くぐらい上手いものだが、入江若葉が思いの外いい。お通の時よりずっといいと思った。そして沢島らしい明朗さ、バイタリティーが際立っているのもこの「春の章」だ。本作も今後再評価されるべき作品だろう。
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