[コメント] テキサスSWAT(1983/米)
岩山の間、野生馬を追う牧童たち。馬泥棒か。他のテキサスレンジャーたちは悪漢に制圧されてしまう。逆光の中、登場するノリス。彼が一人で悪漢たちを片付ける。カッコいいオープニング。
本作の悪役は武器密輸商のボス、デヴィッド・キャラダイン。彼は空手のチャンピオンという設定でもある。序盤、祭りのアトラクションということで空手の試合シーンがあり、この場面の演出もとても肌理細かだ。見事なアクション繋ぎで技を見せるのだ。もうラストのクライマックスが想像できてしまうが(ノリスとの対決の様相を)、それも良いところだろう。ノリスには別れた妻と年頃の娘がおり、娘が犯罪に巻き込まれて大怪我をする展開や、あるいは、引退したレンジャーの先輩で、結構目立つ役であるL・Q・ジョーンズが災難に合う、といったパターンもお定まりの展開だが、全然OKというか、好ましい。
あと、ヒロインのバーバラ・カレラについて書いておくべきだろう。登場時点では、キャラダイン側の悪女かと思わせるが、ノリスの娘が乗った馬の暴走を止めてくれるという良いシーンがあり、ニュートラルな立場なのだと印象付けられる。それが、あっという間にノリスに魅かれている、という描き方は、いい加減と云えばそうなるかも知れないが、このような映画においては、これも全然OKというか、私には美点に感じれらる。彼の家の前で泥んこになりながらキスする場面の大らかさが好きだ。それに、終盤のクライマックスのアクションシーンでも、彼女は予想以上の役割を担うのだ。
そして、ノリスが乗る、レンジャーとしてのパトロールカーと云っていいのだろう、泥々の(土だらけの)ダッジ(DODGE)ラムチャージャー(スーパーチャージャー付き)の活躍についても特筆すべきと思う。序盤からスーパーチャージャーの威力は描かれているが、クライマックス前の絶体絶命のピンチの場面(車ごと土の中に埋められるシーン)での、荒唐無稽な描写には驚いてしまうではないか。この過剰さこそ映画だ。また、ノリスが本作の多くのシーンで愛飲している缶ビール(銘柄はローンスタービール)を自分にチャージする、という演出もいい。全体に、人物へ寄り過ぎの構図が多い点はちょっと気になるが、しかし、かっちりした安定感のあるショットばかりが続く、上出来の映画だと思う。
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