[コメント] A2(2001/日)
わかったような気になっているのではないか
前作と比較して、まとまった映像表現にはなっている。 また、オウムと反対住民が仲良くしている映像が衝撃的であるのは事実である。 気になるのは、前作での手探り状態の質問から、一つ自分なりの認識の土台を築いた上でのもう一歩踏み込んだ質問が目につくことである。それは、少なくとも私の目には、理解を深めたというよりも、わかったような気になっている、というようにしか見えない。前作撮影当初の全くわけのわからない状態から、撮影を重ね、集団の内部に入り込むことによって、各々の「個人」について一定の理解を得ているのは事実だと思うが、それと、森がオウムという「集団」を理解したかどうかは別の問題である。質問するのであれば、オウムの集団としての言葉をそのまま使って聞くような手抜きを行うのではなく森個人の言葉で聞くことに徹してほしかったし、誘導的な質問を行って期待通りの言葉を得て満足するのではなく、未だ残るであろうわからなさをぶつけてほしかった。 長くつき合っているうちに、うまく距離感をつかめなくなってしまったのだろうか、という印象である。
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