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[コメント] A2(2001/日)

キャメラは教団の施設を巡り、住民の排除運動を団員側から描いている。そこにあるのは日本人らしい「剥き出しの憎悪」。本作は教団側を判断停止して反対側、自分の面を見る映画。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







99年休眠宣言。足立区、マスコミ会見場に住民押し寄せて会場溢れる。「住民への説明が先だろう」と怒っている。埼玉の吹上町、住民鉢巻して見張り、搬入物検問。プロパンガス交換できず。群馬の藤岡市、最大拠点。麻原にしろと云われたら、と尋ねられた教団員「意地悪な質問ですね。するでしょ。しますよ。神秘的な力でその人たちに恩恵があればする。しないのであれば退団するべき」。

同市、ふたりだけの施設。現状も麻原の意中にあると確信している、と語る信者。電線のつながった『カナリア』系のヘッドバンドして修行。電圧高くすると耳が焦げる。見張りの住民たちは情が移ったと教団員と塀越しに雑談。住民コミュニティの場になり、見張り小屋の前で記念撮影している。監視テントは撤去、信者も手伝っている。「これがテレビに出ることはないでしょう」。引越しにあたっては大勢の見送り。この件がとても心に残る。

長野の木曾福島町。信者への暴行監禁容疑、自殺未遂者だったと説明(オウム新法の引き金になる)。「警察とマスコミが嘘つく、出鱈目なことする、気持ちがますます現世から離れていく。宗教団体だから危険性がどうしてもある」。松戸市。「オウムを追っ払う」と体育館で住民集会。

松本市。冤罪事件の被害者河野義行氏宅を村岡代行たち幹部が訪問。謝罪に来たのか問われて黙ってしまい、あらかじめ決めてこないのが貴方たちの甘い処だと云われて、別室で協議している。改めて挨拶しているが、謝罪したかどうかははっきり獲られていない。

右翼話がしばらくある。横浜黄金町。出所した上祐幹部。会わせろと右翼が警察に凄む。警察はダンマリ、オジサン警官でなぜかとても弱腰。右翼、拡声器で出てこいと怒鳴る。「我々は政治結社だぞ、これは国民の声だぞ」。街宣車で突撃はじめて大混乱。ここが最高に剣呑である。ホテルだろうか、屋内の神社で大勢の右翼が祈願してから街宣車が集合、着メロが君が代。解散せよ賠償せよとデモ行進。上祐会見。オウム観察処分3年の記事。

茨城の大子町。不動産ブローカーが信者雇用で問題化。住民監視、各局中継車と右翼街宣車。森監督の「仲介」で信者が町長らに詫び入れ、町から出ていくと宣言する。流山市、大きな抗議大会。施設(民家)の門の外でシュプレヒコール、団員は慣れている。虎の門。で賠償合意。今後も賠償を進めると教団は語るが、原資はどうしているのだろうと素朴な疑問が湧いた。

2000年10月。コンテナ倉庫から民家へビデオを移動。ラストはこの冒頭に戻り森監督「憎悪の剥き出しを見てきた、オウムに何を望むのか表現できないけど」と語る。「消えてくれと思っている人が多いだろう」と荒木氏。「消えればいいというものではない」と監督。沈黙が続く。

(評価:★4)

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