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[コメント] 犬神の悪霊(1977/日)

とんでも無い映画体験だとしか言いようが無い。当初犬神の呪いものだからサスペンスとホラー要素があるのかと思ったら確かにそうだけれどその配分と構成の斬新さがとてつもない。こんなの見せられたら(個々の映画にもよるけど)2000年代Jホラーとかのほうが時代遅れとしか思えません。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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垂水一家への差別のあり方や加納一家の秘密を隠す、差別と秘密主義のセットでの描き方も良いし、隆作が自分が差別される理由である犬神の狂気までたどり着く動機づけ、その描き方。そこから磨子に呪いが跳ぶところや竜次がいろいろな立場で翻弄されながらも救いを求めるその姿が最後に炎に包まれる。

なんていう、なんていう果敢な実験が行われている映画なんだ。いわゆる実験映像とかやってる人間はこれを観たほうが良い。これ観た後に思い浮かべたのが『ELECTRIC DRAGON 80000V』の実験と言いながらタダのアホみたいな強調を使った映像の駄目加減。比べればこの映画は実験が物語を伝える形に結実しながらも実験じたいも壮絶な印象を残す、素晴らしい体験でした。

伊藤俊也は『さそり』よりこれで評価されるべき。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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