[コメント] 夜の鴎(1957/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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新珠三千代の結婚生活の変遷。冒頭では、深川の材木問屋の長男田崎潤と二度目の結婚をしているが、田崎は川に落ちて死亡。/ 田崎の両親高堂と桜むつ子は新珠を好いており、次男佐原健二との再婚を望む。/ しかし新珠は葬儀屋の佐野周二と三度目の結婚をし、佐野は自動車事故で死亡(佐野が山のヘアピンカーブに飛び出してクルマに引っかけられるショットはかわっていて面白い)。/ そして画家の佐分利信と恋仲になる。
「人は死ぬものだとよく判った」と装飾品の蓮の花振り回すアラタマが面白い。佐野の葬式にはもう三度目「死神がついている」と悩んでいる。この諧謔を膨らませたらいい話になったと思うのだが、そうなならずにまた恋愛を繰り返し、「女の幸せはいつも誰かのことを考えていることだ」というフツーの話に収まる。
木場の光景が記録されているのが愉しくいい記録。「角乗り」というらしい、法被にねじり鉢巻き姿で仕事歌唄いながら運河のうえで材木に乗ってクルクル回し、棒で転がして纏めていて、川には木材がぎっしり並んでいる。正月には川でお囃子バックにヒョットコが扇子持って踊っている。倉庫が連なり、背景に多目的クレーンが見え、道路は舗装されていない。よく映るのは清澄公園傍の清川橋とのこと。
佐野が顔に傷のある番頭の娘をふってしまう件があり、昔らしく配慮のない描写だった。久慈は新興宗教に走って佐分利と離婚。佐分利がアラタマに次々と紹介する抽象画も当時は新風俗だったのだろう。編集は各シークエンスが短くて淡泊に思われた。当時のチラシに「新珠三千代東宝復帰第一回主演」とある。
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