[コメント] 死霊のえじき(1985/米)
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聞いた所によると、本作は資金不足の為に、ロメロの思うように十分撮影できず、ファンにとっても、そしてロメロ本人にとっても満足いく作品ではなかったと言う。確かに、最初の一時間はゾンビもたいして出てこず、丸見えの伏線(ヘリに燃料を補給していないという所)があったりするが、資金不足の為に表現し切れなかった、という程のものではないだろう。言い訳ではないだろうか?
別に悪い作品じゃないが、『ゾンビ』のように、人間の悪の部分を曝け出し、鋭い視点で描いているとは思えない。前作のような痛烈な風刺という物を感じる事が出来なかった。本作にあったのは、うるさい軍人は結局最後は死んでしまう、というか、「独裁政治は滅びる」みたいな物であろうか?それまで「部下を連れて」等と、指揮官ぶりを発揮していた大尉も、ラストでは仲間を裏切り一人で逃げ回り、結局殺されて行く(目の前で自分の下半身が持ち去られる恐怖は尋常じゃないと思う)。他にも、恐怖のあまり狂い、歓喜の表情で死んで行く兵士なども居た。
そして、前作以上に今作では「化け物になって死ぬよりも殺してくれ」と言う描写が強かったと思う。それは、現在の安楽死の問題に似ている。だけど、期待していた「人間の愚かさ」もさほど無く、むしろ皆無に等しい。「博士の異常な愛情」による、異常なゾンビ研究にしても、そこから何かのメッセージを受信する事は出来ない。
これは、資金不足以前に、ただ単に脚本などに原因があったのではないか?特殊メイクも残酷描写も十分迫力があった。だが、結局ただのホラーに、ただのゾンビ映画に終わってしまっているのは、失敗の原因は製作資金だけではなく、傑作だった『ゾンビ』のプレッシャーに負けてしまったロメロ本人にも原因があるのでは?
実際、『ゾンビ』では予想外の人間が生き残り、ハッピーエンドに見せかけた絶望的な幕切れだったが、今作では、誰が生き残るか、最初の地点で予想がついていた。と、いうよりも、リーダー的な女性研究員、ヘリの運転手、無線を唯一直せる男、愚かな独裁者の軍人たち、この中から誰が生き残るか考えれば、見当はつく。今作には意外性も、そして新鮮味も、何よりも痛烈な風刺も感じられなかった。それは製作資金だけが問題ではないだろう。しかも、「極限状態での緊迫した心理状態」なんて感じる事も出来ず、ただスプラッタをやっているだけに見えてくる。
そして、あのラストシーン。どこかの誰かが「3部作全部バッドエンド」なんて言っていたが、この作品は別にバッドエンドとも思えない。確かにヘリの扉を開けた瞬間ゾンビが居た(なぜ、そこに居るかは不明だが)。そして、あの女がゾンビに噛み付かれそうになった所で、シーンが変わり南国の楽園。
ヘリに燃料は残っていないことは、オープニングで分かっている。つまり、島に逃げるほどヘリが飛べる保障は無いわけだ。だから、バッドエンドかもしれない。ラストの島で楽しんでいる三人の風景は、彼女が死ぬ間際に見た夢かもしれない。今まで悪夢にさいなまれていた彼女がやっと、良い夢を見れた。そういうラストなのかもしれない。
それは、表面上ではバッドエンドではあるが、あの崩壊した近未来に逃げ場など無いのだがから、別に彼らが何処で死のうとバッドエンドとは思わない。いつかは存在しているものは滅びるのだから。
だから、この映画のラストはバッドエンドには思えない。
しかし、ゾンビに銃を撃たせるとは、凄い事をするものだ。死人に人格をつくり、ムカツク軍人を撃ち殺してくれる姿は案外爽快だったりする(笑)
(評価:)
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