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[コメント] 若い人(1937/日)

何かグネグネしていて尻尾が掴めずよく判らない話。終盤の市川春代逃走などよく撮れているが『泣蟲小僧』『小島の春』に比べればまだ肩慣らし中の趣。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私の観た神保町シアターのパンフに上映時間81分、手元資料でも81分とある。しかし、本当に脱落はないのだろうか。冒頭、市川春代が視学官に落書き現場を取り押さえられるのだが、そのシーンがないのが解せない。美味しい処だろうに。その他、市川と母の英百合子との関係やら、説明不足な件が多い。

生徒の市川(押入れで眠る件などぶっ飛んでいる。芸風の広い人だ)も教師の夏川静江も曲者であり、ふたりの奇矯(時にほとんど不愉快)な造形は少女漫画の悪役めいていてその極端さが面白い処がある。しかし、真ん中にいる大日方伝はニュートラル、という話法で物語は進むのだが、最後になって二人とも愛している、みたいな展開になるのは随分と唐突に思われる。戦中を想えばこのような脱線は時局非迎合であり挑発的、このスタンスが尊ばれた作品なのかも知れない。しかしこの調合、大日方と市川がすでにセックスしている原作に比べれば温かろうし、それまでの大日方の真摯な教師という造形からすると脱線という受け止めになっちゃう憾みもあるだろう。

市川春代が夜空に佇むラスト、テロップが重なる。「若い人 北国篇 終」。終わっていないじゃないか。ということで半端も仕方ないのかも知れないが収束になっていない。ここから大日方はどうするのだろう。続編も撮る予定があったのだろうか。

なお、録音劣化はフィルム劣化のせいだと思う。復旧希望。

(評価:★3)

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