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[コメント] 沖縄10年戦争(1978/日)

抗争の顛末を描くのに必死で、肝心の人物が描けていないのが致命的。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 特に松方弘樹演じる友行と藤田まこと演じる中原が決定的に描けておらず、佐藤允千葉真一の伊波兄弟との対立が何とも中途半端に感じられます。もちろんその伊波兄弟だってまだまだ描写不足。千葉真一の爆発力のポテンシャルを考えると、それを充分活かしているとはとても言えません。ヤクザ映画の魅力は物語だけでなくキャラクターの爆発で決まるものなんです。その辺りが出来ていないこの松尾昭典という監督、調べると元は日活畑の人のようで東映ではこれが2作目。なるほどそう言われるとそれっぽいなぁと思ったりもします。

 また出演陣が映画というよりはテレビ的な人が多かったのも、今作の値を下げている気がしました。いや、もちろんこの「映画的」「テレビ的」な振り分けは、僕自身の経験からくる至って独断的で感覚的なものに過ぎないとは思います。でもやっぱり渡辺篤史にしきのあきらはテレビの人であり、残念ながらちょっと安く感じちゃうんです。沖縄人ぽく見せるために、みんなノッペリとドーラン塗ってるのも安かった。ちなみに山田隆夫は安さがグルッと一周して逆に高値でした。

 逆に貫禄だったのが小池朝雄。この人はこういうノラリクラリのイヤらしい役をやらせるといつも上手いのですが、今作は特に図抜けてイヤらしく悪かった。

 まぁそんなわけで、ラストで松方が千葉に「死んでこーい。一人で死んでこーい」とか言ったところで、千葉が小池を殺せるかどうかなど最早どうでもよくなっており、ただ松方に「お前はどうすんだよ」という心のツッコミを浴びせるばかりなのでした。同じテーマを扱った作品なら『沖縄ヤクザ戦争』の方が一段上です。

(評価:★2)

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