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[コメント] すべては愛のために(2003/米=独)

この映画、さじ加減ひとつで、アンジョリ嬢の自己宣伝映画になりかねない。おそらく「偽善」覚悟で、自らの体験も含めて、素直に世界の現状と、救済活動の実情を、伝えたかったんじゃないかな、彼女は。だから、こんな恋愛映画のようなヤワな邦題は不満だ。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







実際にUNHCRの親善大使もしているアンジョリ嬢。それをやってるから、この映画を製作したのか、と思ったら逆で、この映画を通して、国連の仕事をするようになったらしい。私財をなげうったかどうかは別にして、ハリウッドのトップ女優が、映画をきっかけにして自らも難民救済をしようとすること。おそらく彼女の立場なら「偽善」「売名」などの中傷にさらされたに違いない。難民を養子にするにあたっては、「変人」扱いもされたのでは?。

そういうヤジ将軍たちも含めて、実際に何もしていない自分は、彼女のことをどうして悪く言えよう。もちろん日々の暮らしに精一杯で、他人のことはもちろん、遠い国のことなんて思う余裕なんか無い人のほうが、圧倒的に多い。活動が出来る人は裕福で、恵まれているのかもしれない。ならば私は、こういう映画を通して「知る」ことで、身を粉にして遠い国で働いている人たちや、そういう人たちをバックアップしてゆこうとしているアンジョリ嬢のような人たちを応援できたら、と思う。

と、書いたものの、女優としてのアンジョリ嬢は、好きではないんだけどね。

映画の内容としては、サラという女性は、「志」は立派だが、残してきた家族を見ると「身勝手」に見えてしまいかねない。そういう個々の家庭の犠牲の上で救済活動は成り立っている、ということなのかもしれないが、映画なんだから、もう少しその部分に工夫が欲しい。夫に浮気をさせるとかいった薄っぺらなものじゃなくて。でも、結末は意外性があってよかった。「死ぬなら男のほうだろ」とおもっていたから。

クライブ・オーウェンという俳優をはじめて知ったのは『グリーン・フィンガーズ』だった。コテコテの英国映画だったが、クールな主人公を好演していたと思う。『ボーン・アイデンテティ』では、無口というより、詩人のような殺し屋が印象的だった。『ゴスフォード・パーク』はイギリスを代表するような大物たちの中で、かなりおいしい役どころだった。そして、今作でいよいよハリウッド大作の主演に抜擢。役のイメージもあって、一本調子に見えなくも無いけど、がんばっていたと思います。で、次の007候補に挙がっているそうで・・・(アゴと胸毛が選考基準か?)。渋い役が多かったから、全く違ったタイプの映画も見てみたいけど、007はちょっと・・・。

ちなみにカンボジアで、ニック医師にサラが蹴りを入れるシーンで「おぉ!ララ・クロフト・キックが炸裂!」と思ってしまった。もうすこし、服装と髪形を何とかしないと・・・。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ミルテ[*] 映画っていいね[*]

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