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[コメント] 手(1965/チェコスロバキア)

 すべてを投影できる世界。私の場合→
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 どこまでも追ってくる「手」。自分より常に大きく、常に上を指し示す。自分だけの世界であるはずの部屋の中にいるときから、外へ逃げ出しても、常に寄り添って、追い立てていく。

 自分といつも離れないもの、それは「神」か、「自分自身」かしかない。私にはカミサマいないんで、「自分」としたいとこですが、ここでは「常に上を指す」ところから「神」であるとしましょう。または「神を忘れまいとする自己の強迫観念」とか。

 硬く扉を閉めても、それを破壊して、自分だけの世界に踏み込んでくるもの、大きな手。大きな手に押しつぶされて、ついに主人公は殺される。彼は強制的に「上」にむけられる。棺桶の中、彼の手は組んであったのではないか。神に祈るポーズのはずなのに、隈取り、涙(流れてなかったかも)。神への恍惚感がない。苦しみの表情。穏やかな生活は、神によって破壊された。彼はもう、神の世界にいるはずだが、平穏な生活は戻ってきたのだろうか?

(評価:★5)

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