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[コメント] 十代の性典(1953/日)

シリーズ四作通じて、性の対象という意味では若尾文子はメインではなく、準主役というべきで、出番も多くないのだが、しかし、裏の主役と云いたいぐらいに、彼女の存在が映画を支配している役が与えられている。
ゑぎ

 当時の大映が、若尾文子をどれだけ大切に扱っていたかが、よく分かる。つまり、性的な受難に合うのは常に別の女優が担い、若尾は、それに寄り添う役割り、という分担で統一されているのだ。

 本作の受難者は高校三年生の沢村晶子。若尾は一つ下の学年で、沢村のことをお姉さま、と慕っている。心無い学生からは、同性愛なのよ、と陰口をたたかれている。高校は不忍高等学校という名で、下校時のシーンでは当時の上野の風景が背景となり興味深い。

 若尾の家はかなりの豪邸で、お金持ちのお嬢様だが、家に帰ると、妹との喧嘩だとか、脱いだコートを放り投げるシーンだとか、天真爛漫な姿が演出される。力いっぱい蹴り上げようとして、尻もちをつくカットは、なかなかのアクションだ。このシリーズは、貧富の格差もモチーフとして必ず入れ込んでいて、本作では、若尾の同級生の南田洋子の家が貧しい家庭に描かれる。さらに、もう一人、高校に行けず、魚屋で働いている小田切みきの存在もある。

 さて、中盤以降は、沢村と大学生の長谷部健との関係、及び南田の金銭に絡む問題が中心に描かれるが、南田のパートは、途中でほったらかしのまゝ、消えてしまうのがちょっと残念なところ。また、このシリーズは、必ずリゾート地などの開かれた自然の風景をバックにしたプロットを入れるところも共通していて、本作では、蓼科湖のスケート場が、重要な背景となる。すなわち、沢村は、長谷部健と、その友人たち、津村悠子北原義郎品川隆二(当時は奥秋不二夫)、黒田剛ら(けっこう豪華メンバ)と一緒に、このスケート場へ行くことになる。

 やはり、この蓼科湖のシーケンスはクライマックスと云って良く、新宿からの移動シーンから、列車とスケーターを繋ぐような凝ったカッティングを見せるし、長谷部は沢村と二人で滑るが、残りの四人が横になって手を繋ぎ滑るのを移動撮影したカットなんかも良いカットなのだ。転んで怪我をした沢村と長谷部が小屋で二人きりになる場面の演出も凝っている。セーターを脱いで上半身スリップ姿になった沢村の胸と十字架のペンダントを強調する。小屋の外では、窓から見る津村悠子。窓外からのカメラが浮遊するような動きをするのもポイントだ。

 沢村は教会の神父−千田是也の娘で、彼女のトラウマのフラッシュバックなどでも十字のサインを象徴的に使ったりする。この最初のフラッシュバックで、スカートが完全にめくれ上がるカットがあるのと、上に書いたスリップ姿が本作のタイトルにある「性」を画面で表しているほとんど全てといってよい。強いてあげれば、中盤で津村がヌードモデルになる唐突な展開があり、全裸の設定だが、脚だけのカットがいくつかある。

#備忘でその他の配役等を記述します。

・若尾をめぐって喧嘩をする男子高校生は若き江原達怡久保明。もっとも久保は南田のことが好きなのだろう。キスさせてくれよ、と迫るシーンあり。

・若尾の父親は見明凡太朗で、南田の父親は東野英治郎。津村の父親は小沢栄

・小田切は、南田に酒場のアルバイトを世話するが、酒場のオヤジは山田禅二

(評価:★3)

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