[コメント] 無頼より 大幹部(1968/日)
長じてヤクザになった渡哲也は、敵対する組(上野組)の食客になっている少年院時代の先輩、待田京介を刺すことになる。こゝまで、非常に早い展開で見せる。この最初のシーケンスで、渡の女でキャバレーのホステスの三条泰子や、待田の女、松尾嘉代なんかも見せておく。
刑務所から出所した渡は、なぜか、まず浅草寺へ行く。そこで(仲見世通りで)、松原智恵子が上野組のチンピラにかどわかされそうになっているところを助ける。こゝから、松原の強烈な一目惚れが描かれる。全くもってファンタジーだろう、というものだが、それでも、この過剰さこそ映画なのだ。
渡の所属する水原組は、組長が水島道太郎。子分で藤竜也と浜田光夫がおり、浜田が藤のことを兄貴と呼ぶ。これは不思議に思ったが、やっぱり浜田の方が、中盤以降よく目立つ役なのだ。浜田は渡よりも早くからスターだったのだから。また、敵の上野組には、浜田の兄の川地民夫がいる、という設定だ。
二つの組の抗争がメインになってくると、主に新宿が舞台となる。本作でも、ゴールデン街脇の廃線の線路(都電軌道、現在の四季の路)が背景として使われている。それと、夜のシーンで出てきたアパートなんかは、セットかと思ったが、昼のシーンになって、ロケーション撮影だと分かり驚かされた。また、冒頭で登場した待田の女、松尾嘉代は、新宿遊郭(赤線?)の娼婦になって再登場し、渡にからむ。
最初に渡哲也が上野組への殴り込みをかけるシーンは、どしゃ降りの雨の中、皆、ドスを持って暴れ回る演出で、かなり迫力がある。また、逆に、川地民夫らが、水原組を襲う場面では、水島と川地が泥だらけで闘う。
クライマックス、渡が上野組のクラブに一人で斬りこむシーンでは、青江三奈が「上海帰りのリル」を唄う中、歌唱以外は、無音の処理で、渡が暴れまわるカットを繋ぐ演出だ。この演出も凝っている。
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