[コメント] 失楽園(1997/日)
渡辺淳一全集刊行記念映画。本邦90年代の文化的達成というべきだろう。私はミルトンが好きだったので当時バカにされたような気がしたものだが、日本文化は殆ど全てがパロディなのだから仕方がない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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双子岩前でのセックスとか、父親の死去に合わせてセックスして「地獄に堕ちるわ」なんて愉しみ方は、日本会議系列の自民党右翼目くじら立てて怒りそうだ、という処で辛うじてエロによる抵抗文化の体裁は保たれている。東映としては宮尾登美子もののバリエーションでしかなかっただろう。
しかし文化的背景という点で云えば、本作は一流企業の窓際族映画だ。実に愉しそうでよろしい。あがた森魚など面子も豪華。彼等は間抜けなりにエンジョイしていたはずで、それこそが間抜けな文化というべきで、窓際族の失望感が心中に至るなんて展開はいい加減なものだ。空虚なら転職すればいいのであり、ただ自堕落なだけだ。
役所広司が『浮雲』の森雅之に伍する、というひどい批評があったらしいが『浮雲』の森は悪人でありこんな善人ではない、という処で差異は明らかだろう。黒木瞳はむしろ没個性を積極的に身に纏っている。亭主の柴敏夫の変態風は『君の名は』が想起されるが大した展開はない。役所にとても都合のいい娘の木村佳乃の造形など実に阿呆らしい。
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