冒頭の診察を待つ患者の異様さ、失踪させるための謎めいた暗示（そんなものなかったけど）、丹波哲郎の施す催眠療法… のちの傑作サイコサスペンス、『ＣＵＲＥ』を思わせる展開にゾクゾクしたが、種を明かしてみればこじんまりとした真相に少しがっかり。 最初、原子力発電所の陰謀？あの奇形の老人は放射能の影響？なんて壮大な妄想をさせる（俺だけか？）だけに、薬害の隠蔽という真相は確かにショッキングではあるがスケールが小さく感じるのだ。 スケールでかけりゃいいってもんではないが、さんざん思わせぶりなプロットを見せておきながら最後にあれでは「なーんだ」としか言いようがない。 終わってみれば全くストーリーとは関係ないサブリミナル効果の講義の方が印象に残る。