[コメント] 噛む女(1988/日)
本作も殆ど切り返さない。終盤で永島と桃井かおりがテーブルにつき、正対して会話をするシーン、永島がビデオカメラを取りだして、桃井を写す部分は、内側の切り返しがある。
バルコニー側から家の中の複数人物を横移動しながら撮ったカットが顕著だが、シーンを外側から丸ごと写そうとする意志の強さを感じる。また、篠田昇の白い光を取り入れた撮影も特徴的だが、私はこの照明は安っぽく感じられて好きじゃない。
『恐怖のメロディー』や『危険な情事』に似ている、という感想を見かけるが、ストーキングのシーンは思ったよりもあっさりしており、むしろ、永島敏行のどうしようもない性癖と、桃井かおりの達観が中心に描かれる。タイトルロールである余貴美子はナイスファイト。桃井も終盤の濡れ場で、もうちょっと脱いでいれば、激しく見直したのに。
#備忘でその他配役等を記述する。
永島の学生時代からの友人役で平田満と加藤善博。ビデオ制作会社の女性社員で戸川純。永島と桃井が車で移動中に遭遇する包丁を持った男は大江徹。追われる芹明香。絵沢萠子が飲み屋の女将さん。濡れ場なし。竹中直人はバーの主人でゲイ。バーの壁にはディートリッヒのポスターが貼られている。古い日本映画のポスターも。『戯れに恋はすまじ』と『真夜中の酒場』(霧立のぼるの名前が読める)。永島がテレビで古いモノクロ映画を見る。『晩春』。学生運動の記録映像。
ロッポニカ第一作。
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