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[コメント] NOVO ノボ(2002/仏)

メメント』の設定で恋愛映画を作った感じの作品だが、設定なんかはこっちの方が徹底されていていい。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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5分で記憶をなくす男の恋愛映画。

メメント』の設定でそのまま恋愛映画をやったような映画なのだが、この映画の場合、細かい部分の設定が徹底されているので『メメント』よりも納得できる。

特に、主人公グラアムに監視をつけたり、心配する家族がいたり、定期的に通院していたりと現実的に考えるとリアリティがある。この辺は『メメント』も描いて欲しかったところ。

内容的にはグラアムを2人の女性が取り合う三角関係的な恋愛ドラマなのだが、この2人の女性のイレーヌとグラアムの働いている会社の女社長サビーヌがどちらも、私欲のためにグラアムを利用していて、微塵にもグラアムのことを心配する様子がないので恐い。その辺は恋愛映画というよりはストーカー犯罪映画に近いかもしれない。

特にイレーヌはグラアムが会社に行ってしまったらサビーヌのものになってしまうところを知ってからは、彼を会社に行かせまいとわざわざ目覚し時計の時間を細工したり、わざとグラアムを電車に乗せさせないように、自分が電車に乗る時間を遅れさせる。おまけにサビーヌからクビを宣告されるとサビーヌとグラハムを一緒にさせまいとグラハムも辞めさせようとグラハムを指示して操るなどかなり知能犯的なことをやっている。役者としても、イレーヌ役アナ・ムグラリスの美しい容姿とキャラとのギャップが激し過ぎるのですごい。またサビーヌもグラアムとセックスする時も尻を叩いたりと、性格的にサドでそのためにグラアムを利用するし、イレーヌと交際していることを知るとイレーヌをクビにして邪魔させないようにする。

この2人がキャラがのっけから前面に出てくるので二人の女性の取り合いを描いた恋愛ものとしてはよくここまで描いたなというぐらい内容が濃く楽しめる。女性の嫉妬というものはここまで執念深いものなのかと関心してしまった。

ラストもこの手の設定だと『メメント』のような絶望という感じのある設定かと思ったら、グラアムが少しずつではあるが、記憶障害を克服するという展開で救い様のあるところも好感が持てた。

ただ、前半の中身の濃さに比べると中盤以降はグラアムが自分の記憶障害への悩みがメインに描かれていて、間延びした感じがする。それとグラアムの妻のイザベルがあまりグラアムの行動に関心を示しているところがないのも、それまでの設定の綿密さを考えると変な気がした。

(評価:★4)

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