[コメント] 地平線がぎらぎらっ(1961/日)
空騒ぎのジェリー藤尾は、何の象徴にもなり得ず、ただナンセンスで不条理で、まるで新東宝のようだった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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序盤、刑務所の場所取りの件で、前科の数で席順決めるのは全学連みたいだという科白があり、高齢者ばかりの客席にバカ受けしていた。あれはなんでだろう。便所の横の席は本当に臭いのだろうとは判った。
グロンサンの宣伝カーの逃走に子供が集り、ヤケッパチに好演のジェリー藤尾がドラムみたいに太鼓叩く村祭り。ラジオが池田内閣の政策を「物価倍増計画」と云い間違える。
ほとんど主役張るフランケンシュタインみたいな多々良純さんが嬉しく、星輝美の東北弁が可愛い。新東宝末期の清純派とは何という語義矛盾的存在であったことか。天知茂も一風変わった造形で愉しい。吃音の大辻三郎は時代。
藤原審爾らしいクライムコメディだが、あのサルトル全盛期、ラストの目指した先が空虚だった(軍秘匿のダイヤとは嘘だった)というオチはありふれていただろう。ここに何か閃きがあればいいんだけど、待っているのは柿の木だけだった。マムシに噛まれる藤尾、とはなんともナンセンスで不条理で、何の象徴にもなり得ず、まるで新東宝のように消えて行くのだった。
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