[コメント] 悪魔のいけにえ(1974/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まぁ、公開当時の人達は手に汗握って、あのナレーションに聞き入っていたのかもしれないが、先にこの後のフーパー作を見てしまっていたので、「犠牲となった彼らの若さが哀しみを増す」なんて心にも無いであろう言葉が次々と出て来た時にはもう笑った笑った。(笑
レザー・フェイスは完璧なキャラクター。まず、エド・ゲインをモデルにしながらも、小男から大男へ、1人から一家へなどというアレンジはどれも映画として大正解だったと思う。そして、それによって生まれた人皮マスク、エプロン、チェーンソー、大男というビジュアル的な見事さもさることながら、画面から溢れ出る彼の変な人間味に圧倒された。ガツンと一人殺した後で仲間はいないかとドタドタ慌てて窓の外を覗き込む様や、自宅のドアを壊して親父に怒られる姿(笑)、弟に「手伝ってくれ」と頼まれ一緒に「じい様」を運ぶ姿・・・異常というか結構正常なんですよね、実際は。妙に人間臭い。全く理解不可能な所にある異常さではなく、正常と一歩違いの所にあるからこそ、凄まじく異様な狂気が感じられるんだと思う。一家としてもそう。親父の電気消し忘れシーンが好き(とは違う気もするが・・・)だ。電気が付いたままなのを見て「フーパーともあろう男がこんなオイシイ所を放って置くはずがない」と思ったら、やっぱり「電気代もバカにならんからな、ガハハ」とか言わせちゃって・・・。他にも、ファミリービジネスの方針(?)を巡って親子喧嘩が始まっちゃったり・・・もうどこがおかしいでもないのに訳が分からん。変な体験だ。
どうもハートフルコメディの批評みたいになってしまったが、怖くなかったのかと言われれば逆、当然怖い。たまに夜に外を出歩いたりすると、無性にレザー・フェイスの恐怖が蘇る。彼なら、今にもどこからか走って飛び出してきそうだもんな。他の映画の殺人鬼、怪人、怪物とはあまりに格が違い過ぎる。
恐らく照明らしい照明をほとんど使っていないと思われる光加減や、控え目に存在しながら雰囲気を強く盛り上げている音楽・効果音など、見事な限り。異端ながらもしっかりヒッチコックの影響も感じられたり、意外にも直接の流血描写がほとんど無かったり、驚かされる一面も。まぁ、他にも色々語りたいが、とにかく凄い、とにかく傑作だと言っておこう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。