[コメント] 打ち上げ花火、下からみるか?横からみるか?(1993/日)
一見、ノスタルジーを駆り立てるようでいて、背後には猛毒がしこまれている
岩井俊二を、私はかつて誤解していたのではないか、と最近おもう。確かに、岩井俊二は女の子を可愛く撮る才能は秀でているし、見る者の琴線を動かす映像テクニックも持っている。また、ポエジーも不足していないから、安っぽいものにならない。
だが、むしろこのポエジーには岩井俊二の毒が潜んでいるのではないだろうか。『リリィシュシュのすべて』で、レイプシーンに、ドビュッシーの甘味な音楽を流していたような、そういう毒が岩井にはあるのではないだろうか?
この作品の無邪気な少年たちも、性や知識欲に目覚めつつ、危険な男性にかわっていく可能性を秘めている。少女の媚態は、少年たちの運命を捻じ曲げる恐ろしさを孕んでいる。少年たちを教え、あるいは嘘をつく大人たちも。こういった猛毒が、私たちに哀切を帯びて迫ってくる。
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