[コメント] チルソクの夏(2003/日)
70年代歌謡映画。映画はとても上手とは云えないが、脚本レベルは充実したちょっといい話。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
監督の妹さんの実話から取材された話とのこと。次第に疎遠になる文通や別れの予感漂う再会など、本来盛り上がるべき処でシンミリする調子に、作りものでないリアルさがあっていい。淳評だってフィクションなら幾らでも不幸にできただろうし。ラストは気障だが美しい。
「私たちが学校で話すことと云ったら、テレビでの馬鹿馬鹿しい話とか、タレントの誰が好きとか、そんなことばっかり」「だから、日本は平和でいいんだよ。早くコリアンもそうなればいい。羨ましい」という二人の会話がこの作品のキモだろう。本作は70年代歌謡映画であり、私より一世代前の話だが、日本の田舎の高校生はこんなもんだったよと云われれば確かにその通りだと思う。それはここできっちり相対化され、平和の意味について自覚が促されている。
山本譲二の流しの親父がいい味。ここは一転作りもの臭いが、歌謡映画の裏側を語るという意味合いにおいて効いている。森雄二とサザンクロスが凄すぎ。しかし、彼に絡めて日韓関係について幾らでも語れたはずで、踏み込み不足とも思う(私は下関を少しだけ知っているが、あそこには朝鮮人街があったはずだ。ショーウィンドーに飾られたチマチョゴリを覚えている)。ベストショットは何度も同じコースを映す水谷妃里の新聞配達。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。