例えば淡島と高峰がゲラゲラ笑いながら話すシーンがちいとも面白くないのは、観客を隅っこでつまらなそうに座っている笠智衆に共感させようという意図的なものだろうか。万事が万事こんな調子で置いてきぼりにされた印象だ。

岩下志麻がこの作品の翌年に小津映画に出演するが「それまで自分の好き勝手にやっていたのを叩き直された」みたいなことを語っていたが、確かにこの人はコメディはあまり合わないことがわかる。

本当は2点にしてもいい作品だけど、この頃の絵葉書みたいな強烈な発色のフィルムがたまらなく好きなので3点にしときます。