このシリーズは、壮大なスケールと独特の世界観、そして迫力あるＣＧ…と見どころ満載だと思うが、物語の迫力に比べて、肝心の主人公フロドがあまり魅力的に描かれていなかったように私には思えた。

特に、この第３作では、サムをはじめ仲間のホビットたちが勇気を奮って大活躍するのに、フロドだけは最後までイジイジしており、何ともすっきりしなかった（イライジャ・ウッドの端正な顔立ちが裏目に出て、余計にフロドの悲痛な表情ばかりが印象深くなってしまった面もあるかもしれないけど）。

極めつけはラストの指輪を葬り去るシーンで、ここでも彼は指輪の魔力に負けそうになって逡巡している間に、スメアゴルに指輪を奪われ、なし崩しに格闘となってしまうが、ラストくらいは、主人公らしい勇気と決断力を見せて指輪を破棄してほしかった。

この物語、しばしばＲＰＧに喩えられるが、その伝でいくと、サムたちがどんどんレベルアップして逞しくなっていくのに対し、フロドだけは殆どレベルが上がらなかったと思う。もっと勇敢な若者を主人公に据えた方が、この広大な物語を満喫できたような気がするのだが…。