こういう映画では脚本の「ご都合主義」などいくらでも許せるんだけど、意図的に煽りに煽る演出の下品さにはちょっとうんざり。音楽とかスローモーションとか。その上クァク・ジェヨンお得意のつまらんスカトロネタが絡むと途中で止めたくなる。あれはどうにかならないのかしらん！？

回顧篇の方は、60年代の独裁政権下やベトナム派兵という世相を画面上では仰々しく織り込んでいるわりに、ドラマ的な意味付けとしては単なる背景・小道具レベルでしかないのが残念。アクション・シーンを盛り込みたかっただけ、という意図が見え過ぎて何だか情けなくなる。

この監督、こういうメロドラマにコメディやアクションをあれもこれも式に詰め込むのが好きなようだが、もともと演出は器用でもないし繊細でもないしセンスがいいわけでもないんだから、そう欲張らない方が良いと思うんだが。そんなことより、どうせなら最後の「奇跡」のシーンの演出をもう少し考えて欲しいと思った。

役者ではのっぽのイ・ギウはいい味出していた。