コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 渦巻(1945/英)

これも傑作。スコットランドを舞台にした、見事なパウエル+プレスバーガー作品。まずは、クライマックスの渦巻の造型が圧巻で、特殊効果を使ったロングショットも、スクリーンプロセス合成を使った役者たちのショットも、いずれにも瞠目する。
ゑぎ

 という訳で、このスペクタクルが一番の見どころと云えるのだが、しかし、冒頭クレジットタイトルの処理からエンディングに至るまで、殆ど完璧じゃないかと思えるほど、目に楽しい、そして時に超絶フォトジェニックなシーンを繋ぐのだ。特に、呪いの城、モイ城のたたずまいと、目的地キローランへ渡る手前の、マル島の港の風景、霧の中の男達の逆光、シルエットショットが素晴らしい。

 主人公はウェンディ・ヒラー。ちょっと越路吹雪を細身にしたようなルックスで、それほど綺麗な女優ではないが、圧倒的な存在感で映画を背負って立っている。相手役の男優はロジャー・リヴセイ。この人も、屈折した部分と陶冶された人格と、その両方がよく表現されていて好ましい。リヴセイが「呪いの城」に入ったことで、古い言伝えの通り、呪われてしまう、という帰結も奮っており、実に満足感の高いエンディングだ。

#ヒラーが足止めを食らった港で泊まる家の女主人はパメラ・ブラウン。その後、ソーン城のシーンで出て来る眼鏡をかけた少女チェリルは、若きペトゥラ・クラークだ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。