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[コメント] ファッティとキートンのコニー・アイランド(1917/米)

監督主演はロスコー・アーバックルで、バスター・キートンは助演者。と云ってもかなり目立つ役柄だ。冒頭、本編導入部で最初に登場するのはキートンと彼女役(?)のアリス・マンなのだ。
ゑぎ

 「アルディグラのパレード」という挿入字幕があって、水兵の行進が映る。このパレードの見物客の列に、後ろ姿でフレームインするのがキートンとマン。いやその前のファーストカットのことも書いておきたい。本作はコニー・アイランドの遊園地(ルナ・パーク)の夜景から始まる。これが実に美しい光のショットで、人々が微速度撮影で蠢くという凝ったものでもある。3カットぐらい繋いだと思うが、カットが短い。こゝ、もっと長く見たいと思ってしまった。

 さて、主人公のアーバックルの登場は、浜辺の場面。しかし、まずはミドルエイジに見える女性−アグネス・ニールソンが映り、その横にいるのがアーバックルだ。彼のミタメで犬のルークのショットが繋がれた後、砂浜に穴を掘りはじめ、服を着たまゝ埋まってしまう。ニールソンはアーバックルが消えたので、海の方へ捜しに行く。これに続けて、砂浜から潜望鏡が突き出る、というのが想像を超える演出だ。ちゃんと丸い黒枠のミタメショットも挿入する。こゝで、海上にある綱に座った男−アル・セント・ジョンが登場し、アーバックルの妻の友人と字幕が出、ニールソンの役柄が初めて分かる。私はアーバックルの母親かと思っていた。

 このように、多くの小さなツイストが積算される作りだ。また、これで主要人物5人−アーバックルと妻のニールソン、妻の友人のセント・ジョン、キートンと連れのアリス・マン−が出揃って、こゝからは主に、遊園地を舞台とするスラップスティックになっていく。そして、この5人を連携させるのが、ヒロインと云っていいアリス・マンの移り気だ。キートンと一緒に登場した彼女だが、遊園地の場面以降、ほとんど何の屈託もなく、遊び相手をセント・ジョン、さらにはアーバックルと乗り換えていくのだ。

 また、本作のプロットの大きなギアシフトは、急流すべりでずぶ濡れになったアーバックルとマンが浴場に入った後、アーバックルが女装することになる展開だ。こゝで、アーバックルが着替える際、カメラ目線になって観客に向かって何か話しかける。すると下半身を見せないようカメラが上昇移動し、ウエストショットレベルからバストショットになる、というこの演出は特筆すべきだろう。アーバックルの女装が思いの外可愛らしい。男性シャワールームで男たちが恥ずかしがって逃げてしまったり、女子更衣室では、美女−アリス・レイクの脚を見て興奮するアーバックル。テーブルの上の鏡に映った彼の姿が挿入されるのにも驚かされる。

 この後、セント・ジョンが女装したアーバックルにちょっかいを出し始めるといった節操のない描写も現れ、果たして、最終的にアリス・マンは誰と一緒に過ごすのか、あるいは、アーバックルと妻のニールソンの関係はどうなるのか、といったところが収束の焦点となる。何と云っても、ニールソンをめぐる帰結が痛快だと思うが、これを見て怒り出すフェミニストもいる(いた)かも知れない。私は、映画におけるモラルと現実のモラルを一緒くたにすることこそ、唾棄すべきと思う。

(評価:★3)

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