[コメント] ファミリービジネス(1989/米)
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本作なんかはその最も端的な作品と言えるのではないだろうか?なんせスコットランド人、イタリア人、ユダヤ人の三人が事もあろうに親子だと言って成立してしまう物語。こんなの他の国では作れないだろうし、それ以前によくこんな設定考えたもんだと半分呆れてしまう。まずはその設定の勝利とは言えるし、親子三代にわたって名優を配して(ブロデリックも子役としては既に有名だったし)豪華な布陣で製作。
これを可能としたのがルメット監督のネームバリューだったのだろう。一方これだけの豪華な布陣で結構退屈な作品を作り上げるのも、やっぱりルメットらしさか?アクションに行きそうで行かず、緊張感があるやないやらと言った感じ。これもルメットの得意演出だが、本作の場合はなんかキャラクタ任せのゆったりした作品に思えてしまう。
尤も本作の狙いは泥棒の話ではなく、家族愛にあるからそういう描写でも良いんだろうね。
ところで本作の場合、家族愛という目から見ると結構興味深い。三者三様のキャラクタが個性的で誰が主人公と言っても良いのだが、一番重要な役割を果たしているのはホフマンだろう。こどもは父親を通り越して祖父を尊敬する事がよくあるものだが(私自身そうだったし)、その祖父が泥棒とあっては、父としては立つ瀬がない。何とか自分の父と自分の息子に悪い事は止めてもらいたいのに、二人とも全然聞いてくれない。という、あたかも中間管理職の悲哀のような存在として描かれていて、妙なペーソスを感じられる。『普通の人々』におけるサザーランドみたいな存在だが、ホフマンもこういうのが演じられる年齢になった事を知らされた感じである。
この親子は仲が良いのに、結局話は「家族を作る」話になっていて、こういうのに弱い私はつい高得点を上げたくなってしまう。
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