[コメント] スイミング・プール(2003/仏=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
『8人の女たち』では、まさか23歳とは思えぬ容姿で度肝を抜かさせてくれたリュディヴィーヌ・サニエ。この作品では24歳のサニエが、その若さあふれる肢体を思い切り披露している。演技としては大胆だが、なんとも自然な、その姿…。最早オゾンを語る上では欠かすことのできない女優の一人になっている。そんな彼女とランプリングの対照的な人物像は、この作品の余韻を堪能することにおいて、かなり重要になってくる(勿論あのラストからくるモヤモヤなんだが…)
明確な答えを提示していないが、数々の伏線が散りばめられているということもあって、おそらくはある程度の結末が出来上がってくる。基本的にこういった、あまりにも難解なパズルは好きではない。しかしながらこうやって高評価を下したくなるのは、その秀逸さに他ならない。これが酷くては憤慨ものなんだが。
考えてみれば女流作家という設定自体それこそ最大の伏線であるし、地下鉄で幕が開けられるあの場面だって伏線の一つなのだ。名は知られファンから声を掛けられるが、過去の作品と新作へのプレッシャーが彼女のあの態度を生ませる。本を書き上げねばならない…そこで愛人であるジョンの誘い。全てが伏線の一つ。おそらく、キーポイントはジョンの存在。彼がサラに別世界を存在させている。
が、ここで難解なのは「境界線」にある。現実と幻想、リアルと小説。また、映画が映像として入り込んでいくところ。今、画面に映っているのは現実なのか幻想なのか。ラストも含め、おそらくは1つの世界に留まっていないことは確実だ。そういったポイントが面白いところでもあるが、頭を悩ませるところでもある。
ますますオゾンワールドの深みにはまりそうだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。