[コメント] 花形選手(1937/日)
トリッキーな路上のナンセンス・ギャグの連発が凄まじい『有りがたうさん』の応用編。行軍が川へ雪崩落ちる辺り唖然とさせられる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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山中・小津の出征はこの37年。山中は帰らぬ人となる。小津と同じ年の清水はなぜ召集されなかったのだろう。太り過ぎで落ちたのだろうか。佐野周二も追って出征し、帰還して「只今帰って参りました」なるレコードを出しているらしい。判らんと云えば、当時大学生(高校生も)は徴兵猶予されていたのに、なんで軍事教練をしているのかも判らん。卒業後の練習の積もりなのか。何か揶揄するような、冗談半分のニュアンスはこの辺にもあるのかも知れない。
なにせゲイリー・クーパー気取りなのだ。「勝ちゃいいんだよ」の連呼は、戦争の批判というよりも(そんなことできようはずがない)、いずれ出征という運命に対する開き直りというニュアンスが感じられ、それは劇中歌われる「敵は幾万」の歌詞にある「味方に正しき道理あり」と対立している。
映画は坪内美子の件が途中半端なのが惜しい。佐野がふたりでいる処を見つかって、何も説明をしないのが何故なのかも判らない(坪内にまで迷惑がかかるのだから)。「街道者には雨と病気は大敵」の世界はそれでも印象に残る。その一派である男どもを蹴散らす行軍演習には、何が託されているのだろう。時代の空気を感じずにいられない。
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