[コメント] 大根と人参(1965/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の暴力的なキャメラパンではじめて渋谷らしい笠智衆の破壊的なギャグが連発される余りにも非オヅ的な「小津安二郎記念映画」。まるで看板に従う気がなさそうなのがいい。。乙羽信子に長門裕之に加賀まりこと、中心人物が非オヅ的なのも渋谷の主張だろう。
話は笠がなぜ蒸発に至るのかいま一つ判然としないし、蒸発に理由なんかないのだという理由とも受け止めにくい。信欣三に癌だと告知すべきという山形勲との論争も、最後に辻褄合わせがあるにしても、ドラマの背景として機能もしていない。ホンで失敗している。
見処は記念映画らしく豪華な俳優で、有馬稲子、岡田茉利子、司葉子に加賀と並ぶ四姉妹がやたら凄い。有馬と岡田は喧嘩を始めないかとヒヤヒヤさせられる。桑野みゆきは本作では抜群に美しく、母親の桑野通子(『淑女は何を忘れたか』。渋谷はこの助監督をしている)が記念映画だからと降臨したかのようだ。
赤ペンキと鶏で前衛絵画描いているのが加藤芳郎というギャグがいい。新興住宅地らしい冒頭ほかのコンクリ塀とやけに長い階段が当時を描写して印象的。玄関から階段を下りて地下にリビングのある笠宅の間取りは、この宅地の高低差に呼応させたものだろう。蒸発に妾の子発覚というドラマ、オヅが撮ったら全然別物にしただろう。ラブホ宿泊なんて撮る訳ないし。主人公は笠ではなく中村鴈治郎になったに違いない。
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