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[コメント] バッド・チューニング(1993/米)

70年代という時代背景を取り除いても、彼らの青春(一夜の出来事)が自分の青春時代にリンクしてくる。リンクレイター監督の原点ここにあり。邪魔な登場人物は一人もおらず、丁寧に描きこまれている。埋もれてはならない青春群像劇だ!
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







少人数によるセリフ劇を得意とするリンクレイター監督が、まさか10年以上も前に総勢25人以上による青春群像劇を撮っていたなんて…!メインとなる人物が約10人程に絞られてはいるものの、例えば他の15人がワンシーンのみで起用されているという事が無いのだ。その辺の脚本というか、展開の巧妙さはリンクレイターならでは。他にも彼ならではといえば、約100分に描かれたのが実質約20時間ということ。『恋人までの距離<ディスタンス>』では14時間、『ビフォア・サンセット』においてはなんと80分というリアルタイムで話が進行される。つまり、時間進行に重きを置くのがリンクレイターなのだ。1秒1秒を大切にする証であり、また時間進行の意味を十二分に理解している人でもあるということが分かる。

「先輩と後輩の構図」がいちばん面白い。この作品においてかなりキモとなるミッチ(ワイリー・ウィギンズ)が「悪さ」や「酒」「女」「ドラッグ」を叩き込まれる(正確には吸収する)感覚は、何かとよく分かる。はじめは躊躇するものの1度その領域に踏み込めばアクセル全開なのだ。楽しくてたまらない!感覚がストレートに伝わってくる。

特筆すべきは、この作品において「馬鹿演技」をした俳優ほど現在は売れっ子だという事実(笑)。これをどう捉えてよいものか非常に悩むところだが…。同級生が「あいつは一番のバカだ」と認めるベン・アフレックや、OBのくせして後輩にベタベタするマシュー・マコノヒーなんかは面白すぎる。馬鹿演技ではないが、一見おかしな自分の世界を持っているミラ・ジョボヴィッチなんかも忘れちゃいけない。

リンクレイターさん、参りました。

(評価:★4)

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