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[コメント] 極地征服(1912/仏)

さすがに10年経っても進化なしではちとBADなアーリーSF
junojuna

 かの映画史遺産と呼んでも過言ではない名作『月世界旅行』より、10年の歳月を数えた同じ作家の作品として見れば、あまりにも進化の禄が見られないお粗末な錯誤ムービーといえよう。「同じことをやっている・・・」と、これは大方飽きられても仕方がない工夫のなさである。メリエス晩年の苦渋の作品といったところか。メリエスワールド健在というところまではよいのだが、ストーリー、テクニックのいずれも新味なしで、後進芸術としてその技術集約的なメディア価値の重要性をものとしたいところに、はやアナクロニズム的世迷作を生み出してしまうとは、メリエスの映画に対する思い入れはそこまでであったのかもしれない。やはり、そこは出自が興行師、アイデアが枯渇してしまえばクリエイティビティで勝つことは容易なことではなかったようだ。ご存じのとおり、メリエスの晩年はキオスクの売り子であった。しかし、このユビキタスジェネレーションという現代において、彼の作品は今日も世界のどこかでダウンロードされているのである。合掌。

(評価:★2)

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