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[コメント] 真夏の夜の夢(1959/チェコスロバキア)

勿体ない映画。いまだ自分なりの演出のコツをつかみ得ていないトルンカ。妖精たちの描写は、まるでシャガールの絵のような幻想的な色彩美で、一見の価値はある。だが映像作品としての演出は稚拙。多分に紙芝居的な生硬さが目立つのだ。
煽尼采

所々、映像の合成によって夢幻的な画を作る事には成功しているが、画面分割に際しては、直線的に画面を切りすぎている。効果音も、音色のセンスに首を傾げてしまう箇所がある。

人形の演技で描くべき所をナレーションで説明してしまう傾向が目立つ一方で、特に終盤は、パックの行動の意図が曖昧にすぎるなど、観客への情報の示し方がバランスを欠く。

ナレーションで原作者シェークスピアの名を語るのも、夢と劇中劇が入り混じるこの物語を、彼の固有名詞によって現実に引き戻す格好になっていて、不適切に感じられる。

各ショットの構図も、所々画的に完成されている以外は、充分に練られていない印象。

時折、妖精たちが羽虫の群れのように見える場面もあるが、これは却って生々しくて好き。

(評価:★2)

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