[コメント] 静かなる男(1952/米)
牧歌調に瑞々しい詩情を湛えた平易な画面で安定したSO-SOムービー
ジョン・フォードの描写する自然は即、あらゆる男の故郷をイメージさせて詩情豊かな一枚の絵である。それはモノクロであってもカラーであっても同じイメージを想起させるという点で、フォードが唯一無二のヴィジョナリストであることを物語っている。また男だけが持つリリシズムが溶解する母なる大地というスケール感がフォード映画のバックボーンとして存在することは、大人と子供の両極を併せ持つひとりの男のスケールというものを描いて興味深い。さらにフォードの特異性は、演技のハイライトをデフォルメして印象付ける作為に見てとれる。作為の劇空間の強調という演出過多こそがフォード独特の味わいを形成して旨いのだ。フォード映画は何より男のファンタジーをかき立てる。勝気な女、不器用な隣人、乱暴なそれでこそ人間味あふれる大らかなコミュニケーション・・・泥にまみれて遊ぶ楽しさを思い出させてくれる一本である。
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