[コメント] 愛の集会(1964/伊)
パゾリーニのやりたかったこと。
非常に特殊な映画。
全編パゾリーニ自ら様々な巷の人間に「性」についてのインタビューを行う。彼の作品は10本程度観たがいずれも「生」としての「性」が背景となっているようである。普通の映画のラブシーンではキスやその他諸々の愛情的な表現が付きまとう故に概して官能的である。それに対しパゾリーニ作品のラブシーンはまるで動物の交尾を連想させる。
この映画に「愛」はない。社会階層や政治が混ざっているためしっかりと全体像は掴めなかったが、ひたすら人々に「性」という日常生活では巧みに覆い隠される「タブー」について問う。質問に対する種々の反応。果たしてそれらが主流の意見なのか?人々の回答は本音なのだろうか?更にこのインタビューを何故映画にしたのか?
ただ非常に訴えかけてくるものはある。あたかも自分がパゾリーニに質問されているかのように。《質問−回答》形式で成されるコミュニケーション・ドキュメンタリーとでもいうべきだろうか。何かを表現するため一般的な映画人は近かれ遠かれ現実と切り離して映画を《構築》するが、パゾリーニは直に社会に切り込んでいる。虚構ではない。しかし劇映画と同様の、また異なった心的効果を生み出すのである。
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