[コメント] 女子寮潜入大作戦! ソロリティー・ボーイズ(2002/米)
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盗難容疑の冤罪を晴らすために女装して男子寮から無実の証拠となるビデオを入手に奔走する男三人組のコメディ映画。
単純にオーソドックスな学園青春映画かと思ったが、意外にも向かい側の女子寮の女性たちを遊び半分で動物のように捕獲したり、一夜を共にした女性を小馬鹿にする男たちの浅ましさ行動といった男子寮の学生たちの男尊女卑的な思想を痛烈批判した内容で、男子寮の学生で彼らの同類であった主人公のデイブたちが成り行きで女子寮で生活することによって、男子寮の学生たちにからかわられる女子寮の女性たちの辛さに少しずつ感銘していく彼らの成長過程が丁寧に描かれているところが非常に好感が持てる。
また、デイブたち三人は女子寮の女性たちに感銘するごとに段々女装を楽しんでいってる感じで、三人で会話する時にキャラは地(男性)のキャラでも会話は化粧の色のどれがあうとか、女性ものの服の話とか日常的に女性サイドの会話しているのに、ビデオ入手部分では女性のふりをしていても、男性っぽい行動に出てしまうというギャップが面白い。
エピソード的には今まで女性をからかう立場であったアダムが女装して男子寮の男たちにからかわれて初めて屈辱を味わい、女性たちの辛さを実感していくところがよく練られている。この辺、学園コメディの定番要素を皮肉ったネタで笑いをとっているあたりは『ホット・チック』と通ずるものがある。
ただ、ストーリーに関しては『お熱いのがお好き』や『3人のエンジェル』あたりを合わせたような感じで、せっかく従来の学園映画とは一線を画したシナリオなのに既存の女装ネタコメディ映画のシーンの流用は少々もったいなかったように感じる。
それと主人公三人組のうちのデイブとアダムは女性たちの辛い立場に感銘していくところを描いているのにドゥーファーだけキャラの存在がかなりおざなりになっているのが気になる。同じことは女子寮のリーダーであるリアにも言えることで、せっかく女装したデイブに心を開くシーンを作っているのだから、もっと話の中心人物として絡めてもよかったように思う。
とはいえ、女装することで女性でいることで受ける屈辱や苦しみといった一通りの苦労を実感することで彼女たちに感銘していくデイブたちの成長過程はとても感動的で、最初の部分で描かれていた彼らの冤罪の証拠となるビデオ入手のエピソードも脱線することなく描かれて、最後に複線として持ってくるところなど、ストーリー構成自体は非常に優れており、全体的に笑いあり感動ありの悪くない作りで純粋にコメディ映画を求める人にはお薦めできる。
役者ではアダム役マイケル・ローゼンバウムの女装での服の着こなしや仕草といった女性演技が自然に普通の女性に見えるところがなかなかうまい。デイブ役バリー・ワトスンも『鬼教師ミセス・ティングル』の時よりも感情のこもった演技をしていて好感が持てる。女優陣では眼鏡をかけたリア役メリッサ・セイジミラーの可愛さが印象的だった。
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