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[コメント] 世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996/米)

これだけの役者を揃えたんだから。(2011/02/22)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ウディ・アレンの作品はめまぐるしく変化しますので、じっくり見るというより、何気なく見たほうが感動が大きいですね。

でもってこの映画は、

1、とにかく役者がすごい!

2、ミュージカルとして素晴らしい!

の2点。

まさかラストでゴールディ・ホーンが空を舞うほど踊りだすとは夢にも思いませんでした。あのシーンを見ればこの映画の素晴らしさが伝わります。しかもそれが運河沿いだったりしますね。これはまさにチャップリンが『街の灯』で富豪の自殺志願者を助けるシーンにも出てきたような川辺。そこでウディ・アレンと別れた妻のゴールディ・ホーンがダンスをする。この美しくもエキサイティングなシーンこそこの映画の魅力でしょうね。

とにかくウディ・アレンという人は私生活でも映画でも女性にふられますね。

そしてそれに屈することなく、次から次へと女性を口説く。

自分の姿や形はおかまいなし。

彼の知性はそこにあるんですね。

最近のウディ・アレンはアメリカを離れてヨーロッパで仕事をする機会が多いようですが、この映画で彼はまさに彼が慣れ親しんで数々の愛の言葉を吐露したニューヨークを離れました。

そして孤独に陥りそうな自分を解き放った。ミュージカルで。

これすごいことだと思います。

彼の喜劇は寂しさの裏返しになっていますね。

初期の頃の天才的な発想の喜劇ではなく、無常だとか孤独だとか、色々な影の側面が映画のあちこちにちりばめられています。

だからこの映画でも”病人”が何人も出てきますね。

ジュリア・ロバーツがまさにそれでしょう。

そんな病的な社会の一端を映画のパーツにして見事に見せきってしまうパワーがすごいですね。

ハロウィーンのシーンで出てきた『バナナ』は、彼がかつてつくったトタバタ喜劇のオマージュなのでしょうか?

2011/02/22 自宅

(評価:★5)

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