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[コメント] 世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996/米)

珍しいウディ・アレンの本格(?)ミュージカル。「?」を付けたのは「本格」という言葉を使うほどのミュージカルシーンが僅少だからだが(特に歌唱)、とは云え、日常の科白・所作の場面までが唄って踊るシーンになっている映画だ。
ゑぎ

 歌唱シーンで一番良いと思ったのは、実は終盤のパリのシーケンスで出て来る、セーヌ河岸でのゴールディ・ホーンの唄声とその後のダンスだ。ダンスの演出ははワイヤーワークだと思うが、とてもお洒落ないいシーケンスショットで、出色の出来だろう。結局、こゝまで待たされたが、ホーンが一番上手い。あとは似たり寄ったりだが、歌えるかどうかについてのオーディションは行われなかったに違いない。歌唱から離れても、序盤にある宝石店(ハリー・ウィンストン)のダンスシーンや、病院内での群舞(メイキン・ウーピーのシーン)もスケールが小さい。

 ミュージカル場面以外の部分だと、前半のヴェニスのシーケンスも全般にいいと思う。その中でも特に終結部、ジュリア・ロバーツがアレンにキスして、すぐ次の繋ぎが、飛行機のフライトのショット、というこの部分が、ワタクシ的には、全編で一番驚かされた(良い意味で)。

 あるいは、ティム・ロスの登場からの振る舞いが面白いのと、矢張りパリのシーケンスで、シネマテーク主催の仮装パーティがマルクス兄弟リスペクトというテーマが設定されているということなのだろう、でも参加者は、ほとんどがグルーチョの格好をしているのだが、最後に、DJ−ナターシャ・リオンと一緒に踊っている男性はハーポ、というのがオチとしてふるっている。アレンらしい。

(評価:★3)

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