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[コメント] チャップリンの霊泉(1917/米)

人体の動作をアニメーション的なモーションに戯画化してみせるチャップリンの技量はサイレントコメディという映画ジャンルを規定せしめるSO-SO作品
junojuna

 アイデアにアクションがついてくるチャップリン濃度が高い作品である。かの伝説のバレエダンサー、ニジンスキーをして「あなたは天性のバレエダンサーだ」と言わしめたチャップリンの身体性の高さがさらりと伺える一面は反駁の余地はない。肉体を言語化し、そこに情動的な物言いを具現するチャップリンであるが、この時期においては、もはやその動作は様式美としての品格を湛えている。ただし、アクションとしての強度をその芯とする作品のあり方は、まだまだ追随者を許す形式であり、その点では作品そのものに論が向かっていかないゆえに安穏とした印象でそれ以上のものはないが、ギャグの着想はその身体性から生まれているのだと合点する時、キング・オブ・サイレントであることの誉れは輝かしい。肉体を言語化する試みにおいて、ダンス、パントマイムの境界線をゆうに飛び越えているチャップリン煥発の仕事ぶりは注目である。

(評価:★3)

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